【コグ二ビジョン】大型プロジェクトのアプリ開発の裏側に迫る
クオリアシステムズ CTO&COO
岡崎 太

×

コグニビジョン 取締役 商品企画部長
細木 道彦

【コグニビジョン】大型プロジェクトのアプリ開発の裏側に迫る

事故車修理に関する情報共有サービス「コグニフォトベース」などを運営するコグニビジョン株式会社。この度、モバイル版「コグニフォトベースモバイル」のアプリ開発を実現した。責任者を務めるコグニビジョン取締役商品企画部長 細木道彦氏と、2020年から同社のプロジェクトに伴走してきたクオリアシステムズCTO&COOの岡崎太に開発の裏側を聞いてみた。

業界のDX推進にも一役買うアプリ

業界のDX推進にも一役買うアプリ

――今回、アプリ開発に踏み切った経緯を教えてください。

細木
我々コグニビジョン株式会社は、2009年に「コグニフォトベース」(※当時はアウダフォトベース)というシステムをリリースしました。これは車の修理工場と損害保険会社を結ぶインフラとして非常に重要なシステムなのですが、リプレースやリニューアル、機能改善など改修に改修を重ねてきたんですね。リリースから10年以上が経過し、改修を重ねたゆえにシステムが複雑になりすぎたり、IE(インターネット・エクスプローラー)のサポートが終了したりといろいろな背景・事情がありました。モバイルへの対応やステークホルダーからの様々なビジネス要求への迅速な対応が今後必須になることも考えると、抜本的なシステム改修が必要だろうという結論に至り、2022年11月にリニューアルをいたしました。

それに付随する形で、「コグニフォトベースモバイル」というアプリ開発があります。これまでは修理工場がデジタルカメラで損傷箇所を撮影して、その画像をパソコンに取り込んで、損害保険会社にその画像を送るという手順だったのですが、今はスマートフォンがかなり普及していますので、利便性と効率化を追求したアプリの開発を進めることになりました。

――なるほど。実際にシステムを使う修理工場はなかなかアナログな部分があったのですね。

細木
そうなんです。修理工場は事故車を数多く扱うので、どんどん画像データが溜まっていきます。それがうまく整理できていればいいのですが、なかなかそこまで手が回らない修理工場も多いようです。背景にあるのは、修理業界の構造的な高齢化や人手不足の問題です。少ない要員で効率よくやらなくてはいけませんから、画像データの整理に時間を割く余裕のある修理工場は少ないと思われます。効率化や生産性向上の意味でも、スマホを軸としたアプリによって業界に貢献できると考え、開発を進めることになりました。
DX推進に貢献

――いわゆるDX推進に貢献するわけですね。「コグニフォトベース モバイル」の機能のポイントを教えてください。

細木
大きく分けて3つあります。まずは先ほどお伝えした「コグニフォトベース」とスマホがシームレスに連携できるということ。それが1番重要かつ大きなポイントだと思います。デジカメから有線で繋いで、パソコンに取り込んで…という手順を踏んでいたのですが、スマホ一台で撮影し、コグニフォトベースのクラウドにアップロードできるようになるので、画像の管理も容易にできるようになりました。

2つ目は、ナンバープレートが自動で認識される点です。ナンバープレートを撮影するだけで、AIがナンバーを認識し、読み取ったナンバーごとにアルバムフォルダを作成することができます。今まではある意味人力で整理していたものが、自動的にフォルダ分けされるため、利便性が一気に高まりました。

3つ目は、セキュリティ面。ナンバープレートのほか、場合によっては車検証を撮影するので、車を保有するカーオーナーにとってはセキュリティ面が気になるところだと思いますが、その点も十分に配慮したアプリになっております。
データのやりとりがシームレスにできる

――データのやりとりがシームレスにできるのは便利そうです。

細木
修理工場が事故車の写真を撮り損害保険会社に送信する際に、 損傷部位を正しく伝え、適切な枚数を送ることが求められます。そこで、今回開発したアプリの中では、どういう方向からどういう写真を撮ったらいいのかという撮影ガイドをつけてナビゲートしているんですね。つまり、損害保険会社が損傷部位を確認しやすいように、必要なものを最適かつ最小限に送れる工夫をしています。撮影が不得手な修理工場の方でも、撮影ガイドに従えば、損害保険会社がより分かりやすい画像を撮影することができることになります。

もし、画像がうまく撮れていないと、損害保険会社は修理工場に「ここをもう1回撮影して追加で送ってほしい」などと指示を出さないといけない。修理工場と損害保険会社の間にいる私たちだからこそ、両者の効率化が図れる仕組みを目指しました。
岡崎
私は2020年末ぐらいから、コグニビジョン様のプロジェクトに関わらせてもらっていますが、とにかくいろいろな会議や検証をされている印象があります。例えば、実際に修理工場に足を運んで、工場の方に製品がどう使っているかインタビューをされて、そこで得た知見を開発側にもシェアしていただいたことがあります。ここまでされる会社はなかなかないと思うので、個人的に大変感動しました。
細木
関東にある修理工場を5か所ほど巡らせてもらいました。どういう風にカメラを撮っているか、どういう風に事案(顧客)を管理しているか…いろいろとヒアリングさせてもらいました。
岡崎
単に「車を撮影してください」と言っても、近距離で撮影する人もいれば、遠景で撮影する人もいますし、写真が明るかったり、暗かったりとばらつきがあります。「このシチュエーションだったらどうすればいいのか」と考える場面が多く、技術者としてもすごく勉強になりましたし、ある意味難しい問題にトライして、楽しませていただきました。
細木
そうなんですよね。狭いスペースでやっている工場もあれば、広い敷地を持っている工場もありますから。それらの最大公約数を見つけ、どちらでも対応できるように考えなくてはいけないわけですが、それは現場に行かないと分かりません。

――それらが競合他社と比較した上でも強みにもなるのでしょうか。

細木
実はこの修理業界と損害保険会社を繋ぐ仕組みは、他に競合するシステムがありません。

我々には損傷した部位や部品などを入力して修理見積もりを作成する「コグニセブン」というシステムがあるのですが、その「コグニセブン」と「コグニフォトベース」を連携できるんですね。作成した見積もりを画像とともにシームレスに送ることができるのです。その連携がスムーズにできるところも我々の強みだと自負しています。
岡崎
我々はアプリの試作段階の途中からジョインさせてもらいましたが、コグニビジョン様が何をメインにしているのかという点に非常に興味がありました。そこからモノが生まれてくると思うからです。「コグニセブン」のサポートの方に画面を見せてもらったり、お話を聞いたりして、全体像を把握しながらのアプリ開発を心がけました。

「一緒に考えてくれる会社だと判断したから」

「一緒に考えてくれる会社だと判断したから」

――クオリアシステムズを開発会社として選定した最大の理由を教えてください。

細木
単なる開発会社という位置付けではなく、我々コグニビジョンと一緒に考え、いろんな検討をして、お客様の視点で考えてくださる会社だと判断したからです。やはり当事者意識を持ってやってくださらないといけません。単に「開発しますよ、システムを作りますよ」では我々が求めてるものが実現しない。共通の認識であったということが1番の決め手だと思います。

具体的には、コロナ禍であってもなるべく対面で進めたいという我々の要望に応えてくださるなど、コミュニケーションを密にとってくださった印象がありました。
岡崎
私が山口県出身で、細木さんが山口の大学に通われていたという繋がりもありましたよね。私が高校生の頃、細木さんは大学生。もしかしたらすれ違ったかもしれませんねとお話ししたことを覚えています。
細木
そうそう。実はその辺りも決め手だったかもしれませんが(笑)、「こういう風にしたらいいんじゃないか」とお客様の目線を深掘りしたような開発提案をいただき、実際に実現させたこともいくつかあったと聞いています。

例えば「コグニフォトベースモバイル」では、アルバム機能があるのですが、その中で損害保険会社に送った写真と送っていない写真が判別できるような機能をご提案いただきました。
岡崎
細やかにお話しくださって、ありがとうございます。開発を担当している「コグニフォトベースモバイル」の他にもいろいろな製品があるわけですから、その利用状況などを理解した上で提案をさせてもらったことがありました。また、UIやUXに力を入れていない会社さんが多いですが、我々はその点をしっかり強化していきたいと考えているので、どうしたら使いやすいかというアイディアを入れて開発を進めていきました。実際プロジェクトにも1人UX担当を加えさせていただきました。
細木
クオリアシステムズさんを選んだ理由に戻りますと、多種多様なプロフェッショナルがいらっしゃって、ゲームアプリから金融関係のアプリや就活アプリなど幅広く開発されていらっしゃることも魅力です。岡崎さんが仰っていたようにUIやUXを得意分野とされている点も選定した理由の一つです。

新たなプラットフォームビジネスも視野に

新たなプラットフォームビジネスも視野に

――今後の展望を教えてください。

細木
まず今回のアプリは、昨年11月にiOS版だけ先行してリリースしたんですけど、いよいよ4月26日からAndroid版がリリースされました。現場の方々に聞くと、地域によってはまだまだAndroidのスマホを使っている方の方が多い現状もあるようなので、今回のリリースによって、より今回のアプリを多くの方々に使っていただけるのではないかなと思っています。

今は自動車修理に限られていますが将来的には、それ以外に何か活用できることがないか、カーオーナーまで喜んでいただけるような仕組みまで拡張できないかーー。そんな構想を描いています。
岡崎
いちカーオーナーとして思うのですが、修理工場に車を修理に出すと、修理箇所を紙でもらうんですよね。その修理情報をアプリで管理できるようになれば、過去の修理状況も蓄積されますし、便利になるかなと思います。

――最後に今後クオリアシステムズに期待していることを教えてください。

細木
クオリアシステムズさんは「よろこびを提供する」という企業理念をお持ちですが、我々もその点に深く共感しています。引き続き、新たなプラットフォームビジネスなどの構想に一緒に取り組んでいきたいなと思います。

株式会社クオリアシステムズ

https://qualias.jp/